大阪に生まれ大学まで大阪にいた私が、就職する時に東京の会社を選んだのは、とにかく家を出たかったです。その当時、クールに生きようと思っていた(お恥ずかしや)私にとって、大阪のなんとも熱くねちっこい人間関係や単一的価値観を持った村社会から抜け出したかったのでした。もし大阪で就職したとしても、家からは遅かれ早かれ飛び出していただろうと思います。あそこにいたら、狭い世界の中でその中だけでしか通用しないような常識にとらわれて生きていたでしょう。じゃあ、大阪が嫌いか、というとそういうわけではないのですが。あそこが全て、としたくなかったのです。
小学生の時一度引っ越しをしています。引っ越しと言っても自転車で10分くらいのところだったのですが。東京に住むようになってから、自分が小さい時に暮らしていたところに、何度か行った事があります。街並は激しく変わっていたけれども、町の匂いは変わっていなかったのです。
きっと、歳を取ったらいつかこの町に戻るのだろう、そう思っています。